2008年05月09日

ダライ・ラマ特使と中国の対話成果

 インドに帰ったダライ・ラマ14世の特使が非公式対話の内容を語りました。
 各紙で微妙に内容が違うので並べてみます。

チベット騒乱の原因などで隔たり、ダライ・ラマ特使が会見


 【ニューデリー=長沢倫一郎】4日の中国政府との対話にチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世の特使として参加したロディ・ギャリ氏は8日、インド北部ダラムサラのチベット亡命政府本部で記者会見した。両者が協議継続で一致したことを確認し、対話に応じた胡錦濤中国国家主席の姿勢を評価する一方、3 月のチベット騒乱の原因などをめぐり双方の主張に大きな隔たりがあったことを指摘した。

 4日の対話で中国側が「ダライ・ラマによる扇動や北京五輪の妨害行為」を厳しく非難したのに対し、同氏は「非難に根拠はなく、騒乱の原因は中国政府の誤った政策の当然の帰結」と反論したという。

 また同氏が中国国内で拘束されているチベット人の釈放を求めたのに対し、中国側は「犯罪者は法に則して処分する」と応じたことを明らかにした。海外メディアの自由なチベット取材やチベット人にダライ・ラマとの決別を強いる「愛国教育」の停止も要求したが、中国側から確約は得られなかったと述べた。 (08日 22:55)

NIKKEI.NET


チベット暴動:ダライ・ラマ側、中国へ要求4項目


 【ニューデリー栗田慎一】中国チベット自治区での暴動・鎮圧の事後対策を話し合うため、チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世の代理人として中国入りしていたロディ・ギャリ氏ら2人が8日、亡命政府のあるインド北部ダラムサラで記者会見した。2人は中国側に対し、暴動などで捕らえられたチベット人の釈放や中国当局による自治区の「愛国的再教育」の停止など4項目を求めたことを表明。次回協議は「北京五輪開催の直前」との見通しを示した。

 中国側との協議ではこのほか、拘束中のチベット人全員の診療と外国人ジャーナリストによる自治区での自由な取材活動の容認を求めたという。一方、中国側は「北京五輪の妨害につながる活動の停止」などを要求。協議は互いが主張し合うだけで終わり、次回協議までに双方が「回答」を示すとみられる。ダライ・ラマが求めている「高度な自治」などには触れられなかったが、ギャリ氏は会見で「(本格対話に向けた)大きな前進」と評価した。

毎日新聞 2008年5月9日 東京朝刊


中国とダライ・ラマ特使、7回目の対話再開で合意


 【ダラムサラ(インド北部)=永田和男】チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世の特使として中国政府代表と4日に同国広東省深センで非公式協議したロディ・ギャリ、ケルサン・ギャルツェン両氏は8日、ダラムサラのチベット亡命政府情報省で記者会見し、2002~07年に6回行われた後中断しているチベット自治をめぐる双方の対話を近く再開することで合意したと発表した。(センは土へんに「川」)

 4日の協議が中国チベット自治区などで3月発生した暴動をめぐるものだったのに対し、今後開かれる「7回目の対話」は、「高度の自治」によるチベット問題解決を話し合う場となる。

 ギャリ氏は、4日の協議では、暴動発生の原因をめぐり「率直な議論が交わされた」と述べ、激しい応酬があったことを示唆した。また、両特使は「(暴動発生は)何十年にわたる中国の悪政の避けられない結末だった」などと主張し、「愛国教育」と呼ばれる、僧侶にダライ・ラマ批判や共産党への忠誠を強要する宗教管理策について「チベット人民が強く憤慨している」と中国側に伝え、停止を求めたことを明らかにした。
(2008年5月8日22時42分 読売新聞)


 日経新聞はチベット亡命政府と中国政府の間で大きな意見の隔たりがあることを強調。
 産経新聞はチベット亡命政府が中国政府に4つの要求をつきつけたことを強調。
 読売新聞は正式な話し合いが再開されることを強調。

 と基本的に同じ内容ですが、その強調されている部分が違います。
 とはいえ、どこもこの話し合いはどうも上手く行きそうにない、というのがマスコミの見解ってところでしょうか。
 まあ実際、マスコミ以外の人達も上手く行く訳がないけど、ダメもとで話し合いくらいはすべきだ――てスタンスだと思いますし。
 このままなし崩し的に北京オリンピックに行きそうですね。


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Posted by 哲学 at 22:45│Comments(0)ニュース
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