2008年04月19日

聖火リレー善光寺辞退の賛否

 善光寺のスタート地点辞退が正式に決定したようです。

善光寺が出発地を辞退=「チベット弾圧」理由に-ルート変更へ・長野聖火リレー


 長野市で26日に開催される北京五輪の聖火リレーで、出発式が行われる予定だった善光寺は18日、リレーの出発地を辞退する考えを市に伝えた。市はこれを受け、ルートを変更することを決めた。チベット問題への抗議から、聖火リレーは世界各地で計画変更や混乱が続いており、長野でも開催日を目前に控え、コースが見直されることになった。
 長野市役所に同日午前、善光寺幹部らが訪れ辞退を申し入れた。
 理由について、記者会見した善光寺事務局の若麻績信昭寺務総長は「チベットの宗教指導者が立ち上がり、それに対し弾圧しているので、仏教の寺として考えた」とし、文化財や一般信者の安全上の問題に加え、チベット問題が理由であることを明らかにした。
 辞退は同日午前の特別会議で決まったといい、善光寺の総意だとした。
 住職の1人は18日朝、取材に対し「われわれはチベット人と同じ仏教徒との気持ちが強かった」と話した。
 長野市は新ルートについて「週明けでは間に合わない」としており、早急に検討し土日にも決めたい考え。「できる限り変更のない形で考えたい」としている。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080418-00000088-jij-soci
Yahoo!ニュース



 これに対して、石原都知事も賛同の意を表明しています。

【石原都知事会見詳報】1 善光寺の聖火辞退「仏教徒として立派な姿」


(前略)
--来週、長野で聖火リレーが行われるが、今日、善光寺がルートから外してくれと正式に表明した。どう受け止めているのか。開会式の出席について進展はあるか

 「いや、こっちも進展してませんな。私はね、よく支那五族とか昔言いますがね、チベットの人たちがはたして、中国が主唱する中国の中に包括されるべき民族かどうか、別につまびらかにしませんしね、かといって、ウイグルの人だってね、ほかの民族だってありがたがるかわからんけども、多少、大国主義ってのには無理があると思いますよ。しかもチベットの問題はね、議員のころから関心もって、ダライ・ラマと非常に親交があった。それだけども、どの国に何遠慮しているのか知らんけども、ダライ・ラマがやってくると、政治活動するなということで、都庁に行かせないとかね、かと思うと、民主党の議員が静岡県でやった大会に出たりして、とんちんかんな話だけども。私が彼と会っても別に何のインパクトにもならないでしょうが」

 「今度日本人になったペマ・ギャルポくん、昔から知ってましてね、いろんな情報を聞いてましたが やっぱりこの段になって、チベットにみんながああいう形の関心を持つというのは遅きに失した話でね。やっぱり気の毒ですよ。文化も民族も違う人間がね、とにかくひとつの独裁国家の中で束ねられていくというのは。
しかしね、遅きに失したけども、相変わらず無視が続くよりかは、良かったと思いますがね。やっぱり国内の問題だから、中国政府がどういう風に緩和して収縮、吸収していくのか、予測がつきませんな」

--抗議活動自体が五輪とからめられているが

 「こういうきっかけをとらえなかったら、チベットの問題は世界的な注目は浴びなかったんじゃないですか。そらね、こういう機会をあえてとらえてああいう運動を展開することの善しあしは別にして、しかし、やっと聖火リレーのおかげで、あの混乱のおかげでチベットの窮状がわかってきたわけでしょ。既存の事実として、鉄道が敷かれて、民族浄化かなんか知らんけど、とにかくチベット人そのものの血を希薄にするみたいな運動が実際に行われているわけだから」

--抗議活動自体は致し方ない部分もある

 「そう思いますね、私、チベット人の立場になってみれば」

 「この問題、本当に誰も関心持たなかったね。アメリカ人なら俳優のリチャード・ギアだけでね。あの人も仏教徒だそうだけども。それに関心なしにね、宗教こえてもね、一つの独自の文化、長い伝統を持った文化、民族ってのが大きな政治の力でね、混交して淘汰(とうた)されていくってのは、本当に私にとってみたら、見るにしのびない話と思いますね」

--チベット問題をめぐり、善光寺は同じ仏教者として聖火リレーのために施設を提供できないと判断したが、それについて

 「そりゃ、善光寺さんとしては立派な姿勢ではないでしょうかね。つまり、仏教徒というある精神的なアイデンティティーを踏まえてですね、チベットに対する同情というか。しかもやっぱりそれは、一種の聖域ですからね。紛糾で壊されたりしたら困るでしょう。そんなものはむしろ、2次的な問題でね、一つの本山である善光寺が同じ仏教徒に対する哀れみというか共感というか、一種のプロテスト(抗議)としてこれを拒否したというのは、むべなるかなと私は感じますけれども」

http://sankei.jp.msn.com/politics/local/080418/lcl0804181802004-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/local/080418/lcl0804181802004-n2.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/local/080418/lcl0804181802004-n3.htm
産経ニュース


 このように、石原都知事は今回の善光寺の行動に対して一定の評価をしています。また、チベット問題に関して自身も深い関心が昔からあったことを示し、今回の聖火リレーの一連の騒動に対して致し方ないものだと理解をしめしています。
 実際に、ネット上でも善光寺の辞退に評価する声が沢山出ています。
 その一方でこんな声もあります。

「善光寺が聖火リレー出発地を辞退」なんて報道で喜んでる奴はおかしい


(前略)
 冗談はともかく、仏教徒ではない私が思うに、本当にギリギリの、そして最低限の決断だったと思う。


 だって、仏教徒だろ? チベット暴動が騒ぎになる前から、中国政府による国ぐるみの民族浄化に等しいチベット人の弾圧や、仏教への迫害を知っていたわけだろ。もっと前から「いや、聖火スタート地点として中国のプロパガンダに利用される可能性に加担するのは控えたい」というような話が出て然るべきだったんじゃないか。


 スピルバーグ氏も、一部人権団体に散々批判されながらダルフール問題を根拠に北京五輪の役職を降りたけれども、同じ宗教を信奉しているという理念で行動する前提であるならば、筋論ではあるけどもっと早くから中国の仏教弾圧に対して然るべき発言を下敷きにしておくべきだったと思うよ。


 チベットの宗教指導者は立ち上がりっぱなしだったわけだし、チベットの抗議運動も別段五輪があるから一際大仰にデモをやっていたわけじゃないのは知ってのとおり。また、最後の最後でこの決断というのは英断というには贔屓の引き倒しはあるんじゃないだろうか。


 それであるならば、申し訳ないけど他の仏教関係者や仏教を政治に利用している集団は、今回の中国のチベット問題、というよりも仏教徒の弾圧をどう考えているのかということを国際社会にどう説明するんだ、という話に発展しかねないと思う。だからこそ、中国政府から直接事情を聞いて、しかもそれを了承した、という建前が必要なんだと思うが、それであるならダライ・ラマ14世が主導して仏教を装ったテロ活動に従事しているという中国の建前論に近いチベット弾圧の正統性を仏教徒として認めたこととなる。


 問題がこれだけ報じられ、日本国民にもある程度、概ね、だいたい問題の所在が知れ渡ったなかで、同じ仏教徒としてどれだけの仏教関係者や仏教を政治に利用している集団が立ち上がったのか? というのは問われて然るべきだろう。まあ、それだけアイデンティティとして仏教ってのが希薄なんだということなのかもしれないが。


 ついでに、というか、本質的にはこっちのほうが大問題なんだろうけれども、決して中国政府が好きではない私でさえ「それはどうだろう」と思うような不可解な中国関連報道が英語圏で増えているのは気になる。「ブッシュ大統領は開会式に逝くべきではない」という話に繋がって、日本人にはどうにも理解しがたい議論が展開されていて興味深い。
(後略)
切込隊長BLOG』の『「善光寺が聖火リレー出発地を辞退」なんて報道で喜んでる奴はおかしい』より抜粋


 まあ、長い文章ですが、略すと、『聖火リレー騒動が起きる前からチベットの人達はずっと弾圧に苦しんで来た。だから、同じ仏教者としてはこの話が来た時に断るべきだった。今更「世間で騒いでるので辞めます」と言うのはどうなんだ』と言うことです。それって結局チベットのことを本当に心配してる訳でもなんでもないんじゃないか、と言う話です。

 そして、もう一つの問題として、中国を悪く見せるために欧米諸国の報道は過剰なまでの偏向報道が行われ、そのやり口に関しても問われています。
 例えば先日のインドの聖火リレーに関しても中国国内とBBCでは大きく違います。下のリンクで動画でその違いが見れます。

参考リンク:インドの聖火リレー   BBC(英国)と中国の報道の違い

 BBCのニュースキャスターはさらっと、悪意ある発言をしますし、中国では「何事もありませんでした。しかし、参加者達は『政治的なことで北京五輪を乱すべきではない』と口々に言ってます」と報道しています。
 まあ、実際問題のところ、相変わらずチベットのラサは中国に封鎖されており、未だどうなっているのか分かりません。チベット問題に関しても中国ではダライ・ラマ14世の事を悪の権化だと報じ、欧米では立派な指導者であると報じ、その両極端な報道が一層加熱していきます。
 先日は、人民日報がダライ・ラマ14世を人権問題で非難しました。(CRIより)
 果たしてこの問題はどう決着が付くのか……そして日本はどうあるべきなのか、色々と考えさせられます。


 さて、その肝心の長野ですが、中国大使館が不穏な動きを見せています。

在日中国大使館、五輪リレーの声援者を緊急動員か


 【大紀元日本4月19日】近く長野で行われる北京五輪のせいかリレーについて、中国大使館は数日前、日本各大学の中国人留学生「学友会」に内部通達を下し、当日の26日、長野での声援を総動員している。また、在日中国人学者の組織「中国学者聯誼会」や、日中友好団体などにも同様な要請が出されているという。学友会のメンバーが匿名で明らかにした。

 その情報提供者によると、その際に参加者は大使館が支給する黄色いTシャツを着用、ペットボトルとペンなどを持参することを要求されているせいかリレーの抗議者に対し、ペットボトルの水をかけたり、ペンで刺したりするためで、すべての費用は大使館が負担するのだというまた、中国大使館はこの内部通達では、「今回の声援活動はあくまでも、民間が自発的に行うものであり、大使館といかなる関係もないようにする」と、再三にわたり念を押したという。

 その情報提供者によると、現在、各大学の中国人学友会が急いで人員集めをしている。在日中国大使館はパリやロンドンなどでのリレー中の抗議活動が日本で再発しないよう、水面下では全力で動いているという。

 これについて、96年に、日本の東北大学「中国人学友会」で国際部の部長を担当していた在日中国人学者で、同大学の教官である張揚氏は、「同大学の中国人『聯誼会』には、『地下共産党支部』が密かに存在、東京の中国大使館に直轄管理されている。同会の会長は中国当局内部の極秘ファイルが見られるようで、海外の中国人学者の代表として、中国共産党の全国会議によく参加している」などを明らかにし、中国大使館と現地の留学生団体との関係を証言した。

 また、中国民主化運動のシンボル的存在、中国国内で延べ18年間監禁されていた米国在住の民主活動家・魏京生氏はかつて以下のように分析していた。「その種のいわゆる愛国主義は、中国共産党が意図的に煽ぎ立てたものであ。各国の中国在外公館が現地の中国人留学生の学生組織を背後で厳密に支配、当局の情報収集機構に仕立てている。そのリーダーたちは当局から金をもらい、その他の学生を監視したり、様々な当局支援の活動を組織したりしている」そして、今回の五輪せいかリレーでは、当局の工作員が大量に出動し、現地の留学生に混じってリレー声援活動を背後でコントロールしているなどと、指摘している。

 昨年夏ごろ、米国議会で開かれた関連のシンポジウムでは、ハーバード大学の学者、中国問題専門家の張爾平氏や、ドレクセル大学の謝田副教授などを含め、欧米の各大学に在学していた10人近くの元中国人留学生幹部が、「中国学生学者聯誼会(CSSA)」での実体験を明らかにし、同団体が海外での中国当局の諜報収集に積極的に加担しているなどと証言した。

 また、今回の日本でのリレーに対する抗議者を制するために、在日中国大使館が裏の勢力とも接触しているとのうわさもある。

(記者・王明、翻訳・編集/叶子)
http://jp.epochtimes.com/jp/2008/04/html/d78368.html
大紀元時報


 聖火リレーに反対する人に『ぶっかける為の水』と『刺すためのペン』を全員が持つように中国大使館が指示しているそうです。中国人留学生の一人が匿名で明かしたとのことですが、これが本当ならばそれこそ一種のテロ行為ではないでしょうか。
 長野では当日、下手をすればチベット国旗を持ってたり、「中国ってさー、チベットを弾圧してるんだってさー」て喋ってたりするだけで水をぶちまけられる可能性がある訳です。
 肝心のスタート地点は、善光寺の近くに据えて、リレーコースをほとんど変えずに行くらしい(NHKニュースより)ですが、長野では平和な聖火リレーであることを願うばかりです。


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Posted by 哲学 at 17:28│Comments(1)ニュース
この記事へのコメント
中国は頭のおかしい国です

中国の実態っ!!!

http://zoome.jp/799998/diary/23/
(((( ;゜Д゜)))(((( ;゜Д゜)))(((( ;゜Д゜)))うわああああ
ガクガクブルブル がくがくブルブル

これ見て寝れなくなったよ
Posted by @@@ at 2008年04月21日 03:46
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