2008年06月20日

尖閣諸島で対立する中国

 先日、尖閣諸島問題で日本と台湾は大きく対立しました。しかし、尖閣諸島は日本と台湾だけの問題ではありません。
 尖閣諸島は中国と日本における、重大な領土問題のひとつでもあるのです。この島がひとつあるかどうかにより、日本の領海も変わってきます。
 そして、この島の周囲からは石油や天然ガスが発掘でき、例えば日本はここを開発すれば、ガソリン代も安くなって、日本人全体の生活が向上する可能性だってあります。
 しかし、そのガス油田周辺の海域では中国が既にガス油田を開発しており、日本が近づくのを牽制しています。
 この問題は永らく宙ぶらりんとなっていましたが、今回、日本と中国は領土問題を棚上げにして、ともかく一度共同で開発することに決定しました。

東シナ海ガス田 日中が正式合意 「翌檜」周辺で共同開発



FujiSankei Business i. 2008/6/19

 ■日本の資源確保は限定的

 日中両政府は18日、東シナ海のガス田の共同開発で正式合意した。日本が主張する排他的経済水域(EEZ)の境界線「日中中間線」をまたいだ天然ガス田「翌檜(あすなろ)」(中国名・龍井)周辺海域を共同開発するほか、中国が開発に着手しているガス田「白樺」(同・春暁)に日本側も出資することが柱。残りのガス田周辺海域は継続協議とし、根本問題である境界線問題は棚上げした。

 両国政府は「境界画定が実現するまでの過渡的期間に、双方の法的立場を損なわないことを前提とした政治的合意」としている。

 共同開発区域は「翌檜」の周辺海域で日中中間線を挟み、ほぼ正方形に設定。操業権や権益比率は対等とする。「白樺」への日中の出資比率は今後の協議で決定し権益は出資額に応じ日本側に配分される見通し。中間線付近のガス田「楠」(中国名・断橋)と「樫」(同・天外天)周辺海域は、共同開発の継続案件とした。




 日中両政府が東シナ海ガス田の共同開発に合意したことで、翌檜(あすなろ)(中国名・龍井)南部の海域で来年中にも共同探査が行われる見通しとなった。白樺(同・春暁)への出資では、日本政府は25%以上を目指して最終調整を行う方針だ。ただ、2カ所の埋蔵量はそれほど多くはなく、継続協議となった他の海域での共同開発が実現しなければ、資源確保などの日本側のメリットは限定的にとどまりそうだ。

 中国側が採掘寸前までこぎ着けている白樺の採掘可能な埋蔵量は、石油換算で6380万バレルと推計されている。中国企業が周辺に保有する7つのガス田では最大規模だが、1つのガス田としては「メジャー(国際石油資本)なら開発しない」(資源エネルギー庁)という中規模なものだ。

 翌檜南部海域も「有望な地層だが、(埋蔵量は)詳細に調査をしないとわからない」(甘利明経済産業相)というのが実情だ。

 今回の合意も「国内のエネルギー不足が深刻な中国側の事情が大きい」(政府関係者)との見方も出ている。

 実際、日本の石油開発会社や大手商社などの間では「商業ベースに乗るのは難しい」(大手商社)との冷めた声が多く、共同開発に欠かせない民間企業の参加がどこまで進むかは不透明だ。

 しかも、産出される天然ガスや原油は中国側に供給され、日本は販売などによる利益だけを受け取ることになる可能性が高い。


 中国は白樺よりも中国側に位置する「平湖」で石油と天然ガスを採掘し、パイプラインを通じて上海に運んでいる。白樺と平湖はすでにパイプラインでつながっているとされ、中国に輸送し販売した方が、コスト面で合理的とみられているためだ。

 白樺への出資比率は「中国の国内法で重要案件への発言権を得られる25%以上」(外務省幹部)を目指しており、その分の利益は手にできる。翌檜南部海域の権益は対等で合意しており、産出量によっては日本国内で消費するエネルギーを確保できる可能性もあるが、過度の期待はできない。

 さらに日中境界線の画定が棚上げされたことで、白樺と翌檜南部海域以外での開発は今後の協議に委ねられることになり、その行方は不透明なままだ。

 日本が主張する日中中間線の日本側海域には石油換算で日本の年間需要の1・6年分に相当する約32・6億バレルの原油と天然ガスが眠っているとみらている。石油開発会社など民間サイドも期待を示しており、開発に不可欠な境界線問題の早期解決を求める声が強まりそうだ。(飯塚隆志)


 本来は日本の領土のはずなのに、中国を恐れて日本は石油発掘を出来ず、結局領土問題は一旦棚上げにして、先に開発している中国に「手伝わせて貰う」という形を取って研究がスタートすることになりました。
 これでも日本側がかなり譲歩しています。
 しかし、中国国内ではそんなことはさらさらないようです。


ガス田合意に反発続出 中国サイト「新たな屈辱」



 【北京19日共同】東シナ海ガス田問題をめぐる日中の共同開発合意について、東シナ海の権益は日本に一切譲るなと主張してきた中国の愛国主義系ウェブサイトには19日までに「売国条約(締結)への第一歩」「中国外務省は人民をばかにするな」などの書き込みが殺到した。

 厳しい言論規制を実施している中国で、政府への過激な非難が表面化するのは珍しい。今回の合意に反発し、中国政府を「弱腰」と受け止める声が根強いことを印象付けた。

 反日系団体「中国民間保釣(尖閣防衛)連合会」のサイトでは「(中国外交当局者は)中国の屈辱史を新たに書き換えた」などの批判が噴出。「(共同開発合意は)21世紀の下関条約だ」と嘆く声も出た。下関条約は日清戦争後に結ばれ、当時の清朝が台湾などを日本に割譲することに合意した。

 このほか新華社、人民日報系などの大手サイトでも、合意が「妥当な結論」などとする声を反対意見が大きく上回った。

 これに対し、人民日報(電子版)は18日、合意について「日中双方が勝利した」と論評した記事を掲載。
2008/06/19 09:25 【共同通信】


 言論が弾圧されている中国でも、数多くの人達がこれを「中国が譲歩した!」「売国条約だ!」と批判しています。
 実際、このブログでも、最近は日本人のアクセスが減って、中国人ばっかりきてます。
 日本人はこの問題には関心が薄いらしいですが、中国人達はそんなことはなく、この土地はあくまでわれわれのものだと声を大にしてネットで活動しているようです。

 ですが、中国は決してこの問題を国連の国際裁判では争いません
 それは資料などの点から、日本に有利だからです。国際裁判所で争って万が一にも負けた場合、メンツを気にする国である中国は大きく打撃を受けます。だから、中国は「日本が勝つのは分かってるから、裁判には出ない」と言うのです。子供の理論ですね。まあ、実際に裁判しても、政治的圧力などで勝てるか難しい面もあるのですが。
 なんともふざけた話です。

 そして、中国はこの件から、日本は尖閣諸島周辺の海域を中国の領土だと認めた、と発表しました。

白樺ガス田「日本は中国の主権を承認」 中国外務次官

 【北京=佐藤賢】中国の武大偉外務次官は19日、北京で記者会見し、東シナ海のガス田開発に関する日中合意について「日本は中国の法律に従って春暁(日本名・白樺)ガス田の協力に参加することに同意し、春暁の主権が中国に属することを承認した」との認識を示した。春暁に日本法人が出資する方法は「共同開発ではない」との立場も強調した。

 中国の外交交渉の結果に関して外務省高官が記者会見するのは異例。インターネット上では合意への反発が出ており、譲歩した印象を与えないよう丁寧に説明する狙いとみられる。武次官は「ネット利用者の高い関心に注意している」と語り、ネット世論に敏感な姿勢をにじませた。

 中国の一部のウェブサイトでは、ガス田問題に関する意見が書けなくなっている。対日批判の書き込みも当局が一部削除しているとみられる。(00:26)

NIKKEI NET


 どもう、中国は今回の共同開発で日本が領土問題を棚上げしたことについて「棚上げしたと言うことは、もうここが中国の領土だと認めたようなものだ」みたいなノリのようです。
 が、勿論そんなことはないので、まともな中国人たちはネットでそれに反対意見を出しまくっている訳ですが、それに対して中国は次々と反対意見を封鎖しているようです。
 消すと言うことは、それだけその意見を認めているということ。
 これだけ中国はこの問題にやっきになっているのに――とうの日本人達は大して気にしていないというのが現状です。この温度差はなんとかしたいところです。
 なんにせよ、尖閣諸島は日本の領土であるともっと日本の人達は知るべきだと思います。


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Posted by 哲学 at 08:43│Comments(0)ニュース
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