2008年05月19日

行き違う四川大地震支援

 四川大地震に日本の救助隊が行き、感謝されているとのニュースが多いですが、それでも実際には現場での行き違いは多いようです。

【四川大地震】中国との意思疎通不足など問題点も 日本の国際緊急援助隊


2008.5.17 21:07

 日本の国際緊急援助隊の第1陣、第2陣計60人は17日夜、四川省綿陽市曲山(きよくさん)鎮に到着した。引き続き、約60キロ離れた最大被災地の一つ、北川県に向かう。

 被災地では、日本の国際緊急援助隊の活動を高く評価する声が上がっている。その一方で、援助隊が誇る高度な専門性が十分に生かせない現場に送られるケースもあり、援助隊の効率的な活用をめぐっての日中間の意思疎通や、事前調整の不足が目についている。

 日本の援助隊は17日早朝、青川県の病院宿舎で28歳の母親と生後2カ月の娘を遺体で発見した。母親は寝室で娘を抱きかかえるようにして死亡していた。援助隊員は全員で遺体に黙祷(もくとう)し、遺族らが泣き崩れる中、遺体を搬出した。

 「心より感謝します」「一番乗りしてくれた。困っているときに助けてくれた真の友人」-。日本隊の活動は周辺住民の間に知れ渡っている。インターネットの掲示板には、救助隊への感謝やその礼儀、規律の正しさを讃える声が集まっている。被災地では、不足しているはずの食料や水を、救助隊のためにわざわざ差し入れる住民もいた。

 一方、中国側から援助隊に新たに指示された北川県の救助現場は、生徒数約1500人の中学校。すでに軍が救助活動をした場所だ。中国外務省の同行者が日本側に伝えたところでは、まだ捜索や救助が実施されていない校舎が1、2棟あるという。

 しかし、援助隊には生き埋めになったとみられる人数すら通知されず、そのまま現地へ向かうよう指示を受けた。記者団から「なぜ情報が入らないのか」「軍が活動した後の現場ばかりに向かわせるのか」などと質問を受けた援助隊関係者は、「何も知らされていない」と答えるばかりだった。隊員からも、「なぜ軍が活動したところにわれわれを行かせるのか」と首をかしげる者もいた。

 母娘の発見現場は、生き埋めになった者がもともと3人しかいないとみられる場所だった。しかも、援助隊が母娘の救出現場に到着したのは、四川省成都を出発してから14時間後。現場は成都の空港から400キロ。綿竹市や都江堰市など、成都から100キロの圏内には多くの学校や病院などの倒壊現場がある。一刻も早い救助を求める被災者も、それだけ多い。

 日本隊が入った現場周辺の山は半分が崩れ落ち、大量の土砂が町を覆っていた。80メートルに渡り土砂に埋まった小学校もあった。現場は、都市型災害救助という援助隊の専門とは、かけ離れた状況だった。

 「学校や病院など、生存率の高い現場で成果を上げたい」。複数の隊員がこうもらし、現場到着に予想外に時間がかかったことを残念がった。

 援助隊の団長を務める小泉崇・外務省国際緊急援助室長は、「中国にとって外国の援助隊受け入れは初めて」と中国への理解を示したが、実態は、「現段階では生存率が1割程度にまで低下している」(隊員)だけに、援助隊には今、効率的な活用が最も求められている。(野口東秀)

産経ニュース


 せっかく、高度な技術を持つ日本の救助隊なのに、現場の意思疎通が上手くいかず、あまつさえ生存率の少なそうな場所をたらい回しにされているのが現状というものらしいです。日経新聞でも同じような記事が載っています。
 その実態には、やはり根強い反日感情などが救助活動をしている政府当局にあったせいだと思われます。

日本の緊急援助隊は煙たい? 住民歓迎も軍は「メンツが…」


 日本の国際緊急援助隊は18日、「いちるの望み」(隊員)をかけ、多くの生徒、児童が下敷きになった学校の倒壊現場での捜索・救助活動を始めた。ただ、同隊への感謝の声が絶えない被災民とは異なり、人民解放軍などの反応は手放しで「歓迎」とはいかないようだ。(綿陽市北川県 野口東秀)

 中国政府が日本の援助隊を真っ先に受け入れたのには、日中関係の重視や国際協調をアピールする狙いがあったが、民政省などは「反日感情」を危惧(きぐ)し受け入れに消極的だったという。

 その懸念は、被災住民に関する限り払拭(ふっしょく)されたといっていい。しかし、捜索・救助活動にあたる軍などの間には複雑な感情がみられる。

 捜索・救助活動を現場で統括するのは基本的に人民解放軍だ。実際、大規模な災害時に救助や物資の輸送などを行えるのは、軍や消防などをおいてほかにない。

 17日、日本の援助隊は青川県の被災現場で活動したが、軍の兵士の1人は「あれは日本隊だろ。早く帰れよっていう感じだ」と口走った。それ以外にも不快感を示した救助関係者もいた。

 ある中国筋は「軍が仕切る現場で日本隊に生存者を発見させると思うか?」と話す。日本の援助隊に中国側が指定した被災現場は、すでに捜索を終えたか、あるいは巨大な土砂崩れで埋まり、中国側も救助などは「無理」だと判断した小学校だった。同筋は「軍などがいったん捜索し救助活動をすでに終えた現場で、もし日本隊が生存者を発見したら、それこそメンツが立たない」ともいう。

 それでも日本の援助隊が生存者を救出すれば、日中関係の改善にはプラスとなる。現場の軍関係者などによる感情の吐露は、日本から援助隊を受け入れる土壌が整っていないことを浮き彫りにしている。

産経ニュース


 一般人は助けてくれる人ならば誰でも構わないはずです。
 しかし、災害救助している連中の間では、『手柄の取り合い』みたいな感じになっていますね。
 上記の記事を信じるのならば、結局、日本の救助隊は「手柄を立てられない場所」つまり、「誰も助けられるはずのない場所」へ優先的にたらい回しにされている可能性があります。
 人命救助よりも自分たちの手柄を優先するような態度に日本のネットでは冷ややかな反応が多いです。やはり、日中関係をすぐに改善することはなかなか難しく、この問題は根深いと思います。
 今は利害関係を超えて協力し合うべきときなのに、こういうことがあるのは空しい話です。


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Posted by 哲学 at 08:29│Comments(0)ニュース
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