2008年05月02日
香港で聖火リレー終了
中国で初の聖火リレーが香港でありましたが、色々と波乱含みだったようです。
危険と思われる人物は入国を拒否しつつ、「高度な自治」を与えられている香港では一見成功したように見えますが、やはり長野の時のように抗議団体は妨害を受けたようです。
それでも、まだ表面上、今までよりはマシと言えるかも知れません。
さて、肝心のオリンピックの開幕式ですが、福田首相は出るつもりのようです。
官僚達ですら「それはマズイだろう」、と思う中、福田首相の行動は他の国々と違いあまりにも中国より過ぎて身内からも戸惑いの声が上がっています。
しかも、中国が招待したのは福田首相だけではありません。
各国に開幕式の出席を断られた中国政府は少しでも参加者を増やすために可能性のある人物へ手当たり次第正体しているようです。ただ、反中のイメージの強い小泉元首相は呼ばなかったようですが。
これに対抗する訳ではないですが、胡錦涛主席が来日する際の会食には、小泉元首相は出席しない方針のようです。
なんとも国内でも中国に対する姿勢が色々と分かれています。
さて、肝心のチベット問題の方ですが、いよいよダライ・ラマ14世の使者が中国へ旅立ったようです。
この話し合いは反中国意識の高まりに対する牽制の可能性は非常に高いですが、それでも話し合いの場が設けられるだけでもひとつの前進です。これを機会に少しでも事態が進展することを願うばかりです。
北京五輪:聖火リレー 中国領内初、香港で 警官3000人厳戒、もみ合い排除
【香港・庄司哲也、北京・浦松丈二】北京五輪の聖火リレーが2日、中国領内として初めて香港で行われた。チベット政策をめぐり世界各地で激しい抗議行動にさらされた中国政府は、自国領内に戻ってきた聖火リレーを「民族団結」の象徴として演出する。「1国2制度」の香港で、民主化要求デモなど表現の自由がどこまで認められるかが焦点だ。
聖火は同日午前10時半(日本時間午前11時半)、九竜地区の香港文化センターをスタート。約5時間半をかけて香港島中心部の湾仔(ワンチャイ)地区まで120人の走者がトーチをつなぐ。香港当局は警戒のため警察官約3000人を動員。中国の人権弾圧を非難する民主派団体は、「人権聖火リレー」と名付けたデモを行った。
AP通信によると、リレーの支持者とチベット旗を掲げた学生らがもみ合いになり、警察当局が学生側を「保護」名目で排除する場面もあった。
香港は北京五輪の馬術競技の開催地でもあり、全般的に歓迎ムードに包まれた。雨模様にもかかわらず、沿道には中国国旗と同じ赤い服を着た多数の香港市民が繰り出した。
しかし、3月中旬のチベット暴動で噴き出した中央政府への不満を共有する住民も少なくない。このため、中国政府は住民感情を刺激しないようリレー運営や警備を地元当局に任せるなど、細心の注意を払ってきた。
香港特別行政区政府は一方で、デンマークの人権活動家3人やチベット独立を支持するカナダ人4人の入境を拒否するなど、抗議の封じ込めにも動いた。スーダン・ダルフール問題で中国政府を非難し、北京五輪に反対する米女優ミア・ファローさんも講演のための香港入りが一時、危ぶまれた。
香港返還(97年7月)とマカオ返還(99年12月)から10年前後が経過し、中国本土との一体化が進んできたのも事実だ。聖火リレーが1国2制度下で成功すれば、中国本土への求心力はさらに強まることになる。
聖火リレーはマカオを経て、4日に中国本土の海南島三亜をスタートし、8月8日の五輪開幕日まで全国31の省、民族自治区、直轄市すべてを走る。
3月24日にギリシャ・オリンピアで採火された聖火は同31日に北京に到着。リレーは4月2日にカザフスタンの最大都市アルマトイをスタートし、これまで19都市で行われた。
■ことば
◇1国2制度
英国から中国への97年の香港返還後も、香港が従来通り資本主義体制を維持する制度。中英両国は84年、「返還後50年は社会・経済制度を変えない」とする共同宣言に調印した。外交と国防を除き、香港には高度の自治権が与えられている。
毎日新聞 2008年5月2日 東京夕刊
危険と思われる人物は入国を拒否しつつ、「高度な自治」を与えられている香港では一見成功したように見えますが、やはり長野の時のように抗議団体は妨害を受けたようです。
赤い「愛国」、デモ封じ込め 香港聖火リレー
【香港=奥寺淳、野嶋剛】中国全土をめぐる北京五輪の聖火リレーが2日、香港で幕を開けた。大陸と異なり自由が保障され、過去に数々のデモの歴史を刻んできた香港だが、政府は人権活動家の入国を拒み、リレー直前にチベット支援者を拘束。中国の国旗と香港の旗で赤く染まった。
午前10時、九竜・尖沙咀(チムシャツイ)でトーチに火がともった。中国人留学生らが街頭を埋め尽くし国歌を斉唱。チベット独立の旗を見つけると多数の国旗で覆いかぶせた。
「なぜ。私たちは異なる意見を言っているだけ」。香港大哲学科の陳巧文さん(21)が再びチベットの旗を示そうとすると、警察が陳さんの両手足を抱え連行した。警察は「本人の身の安全と公衆の秩序を守るため」と説明。計10人を一時拘束したという。
天安門事件の追悼集会を毎年開く団体も「中国政府はチベットと対話を」とデモをした。しかし、約8時間、119人でつないだリレーに混乱はなく、北京五輪組織委員会の楊樹安副主席は「香港市民の熱情のおかげで成功した」とたたえた。
街頭を赤く染めたのは、中国人留学生や大陸から応援ツアーで来た人々に加え、インターネットを通じて集まった香港人もいた。「愛国愛港(中国を愛し香港を愛する)」と声を上げ、中国批判をする人に詰め寄った。
聖火は空路でマカオに運ばれ、3日午後に聖火リレーが開かれる。
アサヒ・ドットコム
それでも、まだ表面上、今までよりはマシと言えるかも知れません。
さて、肝心のオリンピックの開幕式ですが、福田首相は出るつもりのようです。
福田首相止まらぬ中国傾斜 五輪開会式出席前向きの真意
福田康夫首相(71)は2日、今年8月の北京五輪開会式への出席について、記者団に「まだ決めていないが、行けたらと思う」と述べ、情勢が許せば出席したいとの考えを表明した。首相が開会式に出席すれば、1988(昭和63)年のソウル五輪の竹下登元首相以来20年ぶり。ただ、国内では中国製ギョーザ中毒事件や長野の聖火リレーでの中国人留学生らの態度への反感が高く、国際的にもチベット問題への批判が強い。開会式出席は、低支持率にあえぐ首相にとってさらなる逆風を生む結果となる可能性もある。
(中略)
外務省にとっても首相の発言は、寝耳に水だったようで、同省幹部は1日、「親中派の首相でもこの時期に五輪開会式出席を言ったら、内外に与える波紋が大きいことぐらい分かっている」と指摘していた。
胡主席への配慮であるにしろ、首相の対中傾斜ぶりは、官僚側の観測を超えていたということになる。与党内からも「首相が出席すれば、世界の笑いものだ」(自民党有力議員)との声も上がっている。
中国は北京五輪の開会式に、各国の元首、首脳クラスを多数集め、国威発揚を図ろうと考えている。だが、人権意識が高い欧州の複数の首脳はすでに不参加の意向を示している。
ドイツのメルケル首相、ポーランドのトゥスク首相やチェコのクラウス大統領らは不参加を明言。フランスのサルコジ大統領は、中国がチベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世と公式会談をすることを出席の条件としている。現役の首脳ではないが、日本の首相経験者の一人も周囲に「招待されても絶対に行かない」と述べている。
一方、ブッシュ米大統領は出席の意向だが、議会側からは欠席を求める声が出ており、次期大統領候補らもそろって不参加を訴えている。韓国の李明博大統領は「隣国での開催なので開会式には出席したい」と表明している。
(後略)
産経ニュース
官僚達ですら「それはマズイだろう」、と思う中、福田首相の行動は他の国々と違いあまりにも中国より過ぎて身内からも戸惑いの声が上がっています。
しかも、中国が招待したのは福田首相だけではありません。
北京五輪:小泉元首相は開会式に招待されず
中国政府が8月8日の北京五輪開会式に、森喜朗元首相と安倍晋三前首相を招待したことが1日分かった。森、安倍両氏の間に首相を務め、在任中に靖国神社参拝を続けた小泉純一郎元首相は招待していない。中国政府は福田康夫首相の開会式出席も強く望んでいるとされ、6日に来日する胡錦濤国家主席が福田首相との首脳会談で招待する可能性がある。
北京五輪の開会式を巡っては、チベット暴動に対する中国政府の強硬姿勢を懸念する欧州諸国を中心に首脳の開会式出席を見送る動きが広がっている。このため、中国政府は隣国である日本の首相経験者に出席してもらい、国際社会に向けて五輪成功をアピールしたい狙いがあるとみられる。
(後略)
毎日JP
各国に開幕式の出席を断られた中国政府は少しでも参加者を増やすために可能性のある人物へ手当たり次第正体しているようです。ただ、反中のイメージの強い小泉元首相は呼ばなかったようですが。
これに対抗する訳ではないですが、胡錦涛主席が来日する際の会食には、小泉元首相は出席しない方針のようです。
胡主席との朝食会 小泉氏欠席へ
中国の胡錦濤国家主席の6日からの来日に合わせ、8日に予定される中曽根康弘元首相ら歴代首相経験者と胡主席との朝食会に、小泉純一郎元首相は欠席する意向であることが1日、分かった。小泉氏は、自身の靖国神社参拝について胡主席も含む中国側が強く反発してきた経緯から、周囲に「私が出席したら、胡主席は来ないんじゃないか」と漏らしているという。
Yahoo!ニュース
なんとも国内でも中国に対する姿勢が色々と分かれています。
さて、肝心のチベット問題の方ですが、いよいよダライ・ラマ14世の使者が中国へ旅立ったようです。
チベット:ダライ・ラマの2代理人が北京に 非公式協議へ
チベット:ダライ・ラマの2代理人が北京に 非公式協議へ
【ニューデリー栗田慎一】中国チベット自治区で3月中旬に起きた暴動以来、悪化した対中関係の修復を探るため、チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世の代理人の男性2人が2日、北京に向けて米国とベルギーからそれぞれ出発した。これまで中国側との対話でダライ・ラマの代理人を務めており、3日に中国側との非公式協議に臨む予定。
2人はニューヨークとブリュッセルにあるダライ・ラマ事務所のスタッフ。
暴動以来、両者が対話するのは初めて。2人はダライ・ラマの「懸念」や、「平和解決に向けた助言」を伝えるという。
亡命政府側の「対話要請」に対し、中国政府側は「再開してもいい」との見解を示していた。双方の対話は02年から断続的に行われたが、中断したままとなっており、今後の対話の継続の可能性も探るとみられる。
一方、関係者によると、亡命政府のサムドン・リンポチェ首相は対話について「議題は大規模デモに限定される」と語った。中国が警戒する自治要求など政治的な話題に触れないことで中国側の態度を軟化させ、対話の継続を図る意図がある。
ただ、暴動の状況や死傷者数については双方に大きな見解の違いがあるうえ、北京五輪の聖火リレーを巡り、各地で妨害行為が起きている。双方の亀裂は深まっており、どう関係修復を目指すのかが注目される。
毎日新聞 2008年5月2日 21時05分
この話し合いは反中国意識の高まりに対する牽制の可能性は非常に高いですが、それでも話し合いの場が設けられるだけでもひとつの前進です。これを機会に少しでも事態が進展することを願うばかりです。
Posted by 哲学 at 23:00│Comments(0)
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