2008年04月26日

聖火リレーも長野終了

 チベット問題で揺れる聖火リレーですが、何とか終了しました。しかし、様々な問題があったと思います。
 今日の長野リレーに聖火を妨害されるのを恐れたのか、中国政府は前日についに「ダライ・ラマ14世と会談する」を表明しました。

ダライ・ラマ側と対話再開へ 中国、五輪妨害の停止求める 


 【北京25日共同】中国国営の新華社通信は25日、中国政府の関係部門がチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世側の度重なる求めを考慮、ダライ・ラマの私的代表との「接触と協議」を行う準備を進めていると伝えた。対話進展の条件として「北京五輪妨害の停止」を挙げた。中国政府とダライ・ラマ側の対話が実現すれば昨年7月以来で、2002年に始まった水面下の協議は7回目。政府当局者の話として報じた。

 インド北部ダラムサラのチベット亡命政府当局者は25日、中国政府の対話の意向を「歓迎する」と述べた。

 欧米諸国や日本などからの対話再開を求める声に配慮、北京五輪の聖火リレーをめぐる混乱沈静化もにらんだ措置とみられる。しかし「高度の自治」を求めるダライ・ラマを「祖国分裂主義者」と激しく非難してきた中国政府の原則的立場に変更はなく、対話の進展は楽観視できない。

 高村正彦外相は同日午後、中国政府が事前に日米両国に対話の方針を伝えてきたと述べた。

東京新聞


 つまりは、「ダライ・ラマ14世と話し合うので北京オリンピックの邪魔するのやめて、ぷりーず」と中国が根をあげたのです。とはいえ、まだ「話し合う」と言っただけでこれでチベット問題が解決すると決まった訳ではないので予断は許しませんけれど。
 なにはともあれ、この発表があったせいか国境なき記者団の人達も「ダライ・ラマ14世と中国の対話が実現したら抗議活動を辞める」と堂々と断言しています。(「asahi.com」より)

 さて、結果的に長野聖火リレーはどうだったのか振り返りたいと思います。
 まず、逮捕者は五人で済んだようです。

【総合】長野で聖火リレー、隊列の壁 乱入の5人逮捕


 北京五輪聖火リレーは26日、長野市で行われ、厳戒態勢の街を長野冬季五輪以来、10年ぶりに聖火が走った。80人が引き継いだ聖火はほぼ予定通り、ゴールの若里公園に到着した。沿道では警察官に囲まれたランナーの列に飛び込もうとした男5人が逮捕され、中国人応援団とチベット支援者らによる小競り合いで4人が負傷するなど、緊迫した空気が聖火を包み込んだ。

 午前8時15分から長野県勤労者福祉センター跡地で出発式が開かれ、日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長、開催都市を代表して長野市の鷲沢正一市長があいさつ。聖火は北京五輪組織委員会(BOCOG)スタッフによって点火され、BOCOGの李炳華副会長から崔天凱・駐日中国大使、竹田会長へと渡り、鷲沢市長から託された第1走者の野球日本代表監督の星野仙一さんがコースへ走り出した。

 警備上の理由から公表されなかった第2走者以降、前半は陸上短距離の末続慎吾選手、女子スピードスケートの岡崎朋美選手、スケルトンの越和宏選手、北京五輪女子レスリング代表の吉田沙保里選手らが聖火をつないだ。

 エムウエーブで休憩を挟み、後半はやや進行が遅れたものの、五輪2大会連続メダリスト有森裕子さんから聖火を受けた最終走者で北京五輪女子マラソン代表野口みずき選手がスタートから約4時間後の午後零時半すぎに若里公園に到着した。

 聖火ランナーには青色のウエアを着た中国人スタッフ2人が付き添い、その外側をトレーニングウエア姿の警察官ら約100人が囲んで警護。沿道は数メートル間隔で警察官が配置されるなど総勢3000人以上の警備態勢で、終始緊迫した空気は解けないままだった。

 観客が集中した市中心部でタレントの萩本欽一さんや卓球の福原愛選手が走行中、それぞれ男が路上に飛び出すなど、県警は日本人の男4人と東洋系外国人の男の計5人を威力業務妨害容疑などで現行犯逮捕した

 聖火は3月にギリシャで採火し、5大陸21都市を巡回している。長野は16番目の都市で、韓国・ソウルに引き継がれる。
中日新聞


 逮捕された人の詳細は時事ドットコムで出されています。

2008/04/26-18:42 観客は8万5000人=妨害で逮捕5人-聖火リレー・長野県警


 長野市で26日に行われた北京五輪の聖火リレーの観客数は、8万5600人に上ったことが長野県警の集計で分かった。県警はリレーを妨害した男計5人を現行犯逮捕。調べに「チベット問題を訴えたかった」などと供述しているという。
 県警によると、沿道の観客は8万人。ゴールの若里公園が5000人、出発式が行われた県勤労者福祉センター跡地と休憩地点の長野五輪競技施設「エムウエーブ」がそれぞれ300人だった。
 威力業務妨害の現行犯で逮捕されたのは、聖火ランナーが通過する際、車道に飛び出した川崎市多摩区の会社員(30)、台湾籍の建設作業員(42)、東京都中野区の会社員(38)と、卵を投げ付けた世田谷区の無職の男(25)聖火に向けてトマトを投げ付け、警察官に命中させた愛知県津島市の自営業者(63)が暴行の現行犯で逮捕された。
 川崎市の男は「チベット問題を訴えたかった」、台湾籍の男は「中国人がたくさんいたので興奮した」と供述している。
時事ドットコム


 特に、福原愛選手に飛び込んだのは上記の「台湾籍」の男性だそうです。彼はチベット国旗を持って飛び込んだのですが、メディアは中国を配慮していたのか「黄色い布を持ってます!何か、黄色い布のようなものを持って飛び出しました」と報道してたりしました。決してチベットの国旗とは言ってませんでした。
 実は、彼は台湾籍ですが、元々チベット人二世だったそうです。何故彼がこんなことをしたのか……詳しい記事が産経新聞にありました。

「フリーチベット」の叫び届かず亡命2世 泣きながら乱入 聖火リレー


 何のための、だれのための「平和の炎」なのか。26日、3000人規模の厳戒態勢の中で行われた北京五輪の聖火リレー。沿道を埋め尽くす真っ赤な中国国旗と、時折揺れるチベットの雪山獅子旗。出発式会場に一般客は入れず、平和の祭典を象徴するイベントは「市民不在」で進んだ。「チベットに自由を」「ゴーゴーチャイナ!」。チベット問題を訴えるプラカードも掲げられ、タレントの萩本欽一さんや卓球の福原愛さんが走行中には男が取り押さえられる場面もあった。善光寺で知られる仏都・長野市は終日騒然とした空気に包まれた。(林英樹、永原慎吾)

 ハプニングは突然起きた。JR長野駅や善光寺周辺と比べて、比較的観客の数が少ないコース中ごろの沿道。「フリーチベット!」。チベットの旗を握りしめた男がロープをまたいで車道へ飛び出し、聖火ランナーの列に飛び込んだ。警官隊に取り押さえられ、地面に顔を押さえつけられながらも、「フリーチベット」の泣き叫ぶような声は消えない。

 男は、台湾に住む亡命チベット人2世の古物商、タシィ・ツゥリンさん(42)。「私はオリンピックに反対しているわけではない。ただ、チベットの惨状を全世界に訴える絶好の機会だと思っている」。この日朝、沿道の別の場所でチベットの旗を広げていたタシィさんは記者にそう話していた。

 タシィさんは、中国のチベット侵攻後の1959年、チベットからインドに亡命し、その地で生まれた。紛争は直接経験していないが、父親の壮絶な体験がタシィさんの心に刻み込まれている。

 父親は紛争の最中、政治的理由で中国公安当局に拘束され、死刑を宣告された。しかし執行の前日、一か八か、小さな窓から絶壁に向かって飛び降りて脱走、一命を取り留めた。その後、夫婦で当時7歳だった兄を連れて2週間かけて、命からがらヒマラヤ山脈を越えたという。

 「チベット独立は両親の悲願でもある。それを実現するためには、残りすべての人生を犠牲にする覚悟がある」

 チベット難民として暮らしたインドでは、常に「どこにも所属しないホームレスのような感じだった」。しかし、ダライ・ラマ14世の言葉に接し、考え方が変わった。「チベットはチベット人のもの。暴力を使わず、平和的に訴えることで、私たちの『自由』を取り戻したい」

 タシィさんは25日夜に長野入り。タイの聖火リレーでも抗議活動に参加したが、そのときと比べると、日本のほうがチベット支援者が多いことに驚いたといい、「応援してくれる日本のみなさんに感謝している」と述べていた。

 穏健にチベット問題を訴える人たちもいた。市民団体「SFT日本」の代表を務める亡命チベット人2世、ツェリン・ドルジェさん(34)=名古屋市=らも長野入りし、「チベットに自由を チベットに人権を」と書かれた横断幕を握りしめた。

 「私たちは聖火リレーを妨害するつもりはない。ただ、中国政府にオリンピック精神に立ち返ってほしいだけ。自分の思うこと、感じること、自由に発言できる社会にしたいだけだ」

 SFTでは事前に、抗議をする場所や抗議方法について、長野県と協議を重ねていたが、ツェリンさんらの周りには、「ワン・チャイナ」と連呼し、中国国旗を翻す大勢の中国人たちが詰めかけ、その声はほとんどかき消された。

 チベットの中心都市、ラサでは中国人の人口がチベット人を超え、子供たちも中国語を話すようになっているといい、「このままでは私たちの文化や宗教は確実に跡形もなく消えてしまう」。

 この日、長野を訪れたチベット人らの多くは3グループに分かれて抗議活動に出かけた。あるチベット系中国人男性は「チベットに残してきた家族が中国の公安当局に尋問を受けており、顔や名前を出して抗議活動をするのは正直怖い」とこぼした。

産経ニュース


 彼が飛び込んだことについて、神戸新聞では夕刊の一面で「長野騒然 聖火汚す」と書かれていました。確かに彼は暴力に訴えようとしたかもしれません。しかし、彼の半生を聞いて、それでもなお「彼は愚か者だ」と言い切れるでしょうか。確かに、行動は間違っていたかも知れません。しかし、彼の家族はチベットで迫害を受け、チベットが開放されるためならば残りの人生を全て賭ける覚悟がある、と言い切れるのです。そこまでの思いを誰が無下に出来ましょうか。
 また、弱腰と言われるダライ・ラマ14世の言葉を受けてこうして立ち上がった人も確かにいたことに少し感動しました。

 さて、この他にも長野駅でチベット支援団体と中国人の団体で睨み合いが起きたのですが、その際に「フリーチベット!フリーチベット!」とチベット支援団体が叫んでいたのですが、アナウンサーは「何か罵声のようなものが聞こえますね」とだけコメントして流しました。色々と生放送で偏向報道がなされたように思います。
 それらの映像はこちらで見ることが出来ます。

 肝心の「国境なき記者団」の人達は何をしていたかというと、リレー前に善光寺に行って座り込みをした後、リレー観戦に向かったそうです。(「毎日新聞」より)

 なんにしても、この長野の聖火リレーに約8万5千人もの人間が結集し、これだけ互いの主義主張を出し合い、睨み合ったのは凄いことだと思います。しかし、平和の祭典としては非常に哀しいものだったと言えるでしょう。しかし、中国がそういう状況を作り出す原因を作ったのも確かだと思います。
 結局、スタート地点は一般人は立ち入り禁止になり、ゴール地点も日本人立ち入り禁止(中国人はOK)です。
 日本人でのオリンピックの祭典だったのになんだったのでしょう。
 これから聖火は韓国へ渡り、北朝鮮、ベトナム、と渡り、最後に中国全土を走ることになります。
 途中は未だに封鎖されたチベットのラサも通ります。
 しばらくは聖火に対する妨害もほとんどないと思いますが、これを機になんとかチベット問題が解決することを祈るばかりです。

今後の聖火リレーのルート
4/27 ソウル(大韓民国:首都)
4/28 平壌(北朝鮮民主主義人民共和国:首都)
4/29 ホーチミン(ベトナム)
5/02 香港(中華人民共和国)
5/03 マカオ(中華人民共和国)
5/4-5/6 海南省(中華人民共和国)
5/7-5/10 広東省(中華人民共和国)
5/11-5/13 福建省(中華人民共和国)
5/14-5/16 江西省(中華人民共和国)
5/17-5/19 浙江省(中華人民共和国)
5/20-5/21 上海(中華人民共和国)
5/22-5/24 江蘇省(中華人民共和国)
5/26-5/28 安徽省(中華人民共和国)
5/29-5/31 湖北省(中華人民共和国)
6/1-6/3 湖南省(中華人民共和国)
6/4-6/6 広西チワン族自治区(中華人民共和国)
6/7-6/9 雲南省(中華人民共和国)
6/10-6/12 貴州省(中華人民共和国)
6/13-6/14 重慶(中華人民共和国)
6/15-6/18 四川省(中華人民共和国)
6/19 エベレスト山頂(チベット)
6/21 ラサ(チベット)

6/22-6/24 青海省(中華人民共和国)
6/25-6/27 新疆ウイグル自治区
6/28-6/30 甘粛省(中華人民共和国)
7/2-7/4 寧夏回族自治区(中華人民共和国)
7/5-7/7 陝西省(中華人民共和国)
7/8-7/10 山西省(中華人民共和国)
7/11-7/13 内モンゴル自治区(中華人民共和国)
7/14-7/16 黒竜江省(中華人民共和国)
7/17-7/19 吉林省(中華人民共和国)
7/20-7/22 遼寧省(中華人民共和国)
7/23-7/26 山東省(中華人民共和国)
7/28-7/31 河南省(中華人民共和国)
8/1-8/3 河北省(中華人民共和国)
8/4-8/5 天津(中華人民共和国)
8/6-8/8 北京(中華人民共和国)



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この記事へのコメント
ウイグル人やチベット人を虐殺する悪魔によるオリンピック聖火リレーの走者になるのを辞退しない日本人には、ほとほとあきれてしまう!日本人はヒトの生命よりも自分の社会的地位をだいじにするけがれた悪い習性がある。隣で何の罪もないヒトが監禁虐殺されているのをしりめに、てめえだけはしらんぷりで優雅な犯罪人生を謳歌しているのだ。こんなてめえさえずるくたちまわればいいと思っている日本人であるから、何の罪もない新井泉さんを長いあいだむりやり監禁暴行して人生も健康も破壊して虐殺しても、てめえらは平然と凶悪犯罪を犯し続けている。てめえだけ中国人になれたとうれしがってウイグル人やチベット人をこの世から抹殺しようとしているのである。こんな残酷な日本という最悪の国を早く滅ぼさなければならない。
Posted by まどか at 2008年04月27日 06:47
 ランナーは、主に政府が外国の動向にあまり気にしてなさそうな人として選んだメンバーのみを集めていることもありますし、ランナー側が辞退しなかったという一点で日本人全てを語るのは正直どうなんでしょうか、と。
 今回は中国がチベット側の対談の用意される可能性もほのめかしてましたし(周りの抗議があったから対談を用意する気に折角なってくれたのに、抗議を悪化させることもない

 というか、貴方もきっと口だけでしょう。

 直接、当日に長野に行って日本人の動向みてたら、そんな考えは出てこないと思いますが。
  さすがに今回の長野県警や政府の対策は馬鹿としかいい様がなかったけど、市民だと普通にチベット開放に積極的な人も多かったですし。
Posted by Kooh at 2008年04月27日 16:34
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