2008年04月15日

五輪ボイコットの代償?

 北京オリンピックの開幕式のボイコットを表明する首脳が次々出る中、アメリカの大統領補佐官はそれを非難する発言をしました。

北京五輪:「英首相らの欠席は責任逃れ」 米大統領補佐官


 【ワシントン小松健一】ハドリー米大統領補佐官(国家安全保障担当)は13日、チベット問題をめぐりブラウン英首相、メルケル独首相らが北京五輪開会式欠席を表明していることについて、「対決ではなく、静かな外交を通じて中国にメッセージを伝えることが重要。ボイコットは責任逃れ」と批判した。FOXテレビなどのインタビューに答えた。

 ハドリー補佐官は「外交上の利益を考えると、大統領が五輪に行かないという理由は見あたらない」と述べ、ブッシュ大統領の予定通りの訪中を強調した。だが一方で、「旅程は固まっていない。開会式に出席するかどうかという問題よりも、建設的、外交的に中国に働きかけることが大切」と語り、開会式出席を見合わせて、米選手団の応援のため北京入りする可能性に含みを持たせた。

 米政府は今後、米中間の人権対話などを通じて、中国政府にチベット側との対話を促し、米国や国際社会の懸念解消に努めるよう求める方針だ。中国の対応を見ながらブッシュ大統領は開会式に出席するかどうかの判断をするとみられる。

毎日新聞 2008年4月14日 19時06分
http://mainichi.jp/select/world/news/20080415k0000m030028000c.html


 アメリカではオバマ議員やマケイン議員など、次期大統領候補の人達や下院議会などがブッシュ大統領に北京五輪の開幕式のボイコットを呼びかけていますが、上記の通り、オリンピックと政治を結びつけるのは良くないという立場から前向きに考えているようです。
 ボイコットは無責任と言いますが、果たして出席しなければどうなるのか。
 これについて、実際に五輪で抗議活動をした選手が、五輪で抗議活動を行うことの代償について述べています。

「五輪での抗議、代償は大きい」 メキシコ五輪の米黒人代表が警告


【4月14日 AFP】チベット(Tibet)問題や人権問題をめぐって北京五輪の政治問題化が色濃くなるなか、1968年のメキシコ五輪で公民権運動を支持する示威行動「ブラックパワー・サリュート(Black Power salute)」を行った米国の黒人元五輪代表選手が、五輪での政治的活動の代償は大きいと述べ、現役選手らに向けて警鐘を鳴らした。英紙タイムズ(Times)が13日、インタビューを掲載した。

■黒人差別に抗議して追放、五輪後は職に就けず

 トミー・スミス(Tommie Smith)氏とジョン・カルロス(John Carlos)氏は、メキシコ五輪の200メートル走でそれぞれ優勝および3位となったが、表彰式で黒い手袋をはめた拳を掲げ、黒人差別に抗議するパフォーマンスを行ったため、国際五輪委員会(International Olympic Committee、IOC)の処分を受け、米ナショナルチームから除名・追放された。

 2人の行為は五輪史上で最も有名な政治的パフォーマンスとして記憶されることとなる一方、「一夜にして悪者扱いされ、帰国後は職に就くことができなかった」(スミス氏)という。

■北京ではさらに厳しい処分の可能性も

 カルロス氏は、40年が経過しても五輪における状況の変化はほとんど見られないと指摘。北京五輪で政治的な抗議を示すことを考えている選手らに対し、「状況を念入りに調べたうえで、確固たる意志と精神をもってメディアに訴えるなど、われわれとは異なる手段を選ぶ」よう勧めた。

 一方、五輪そのもののボイコットは支持しないが、仏大統領や独首相が開会式の欠席を表明したことについては賛同すると述べた。

 スミス氏は、メキシコ五輪と北京五輪の状況には類似点が多いとして、抗議行為を行った選手をIOCが厳罰に処す可能性を示唆「抗議活動を止めろとは言わないが、伴う代償が大きいことは指摘しておきたい。IOCが科す制裁は、おそらくメキシコ五輪当時より厳しいものとなるだろう」と述べた。

■史上最も政治色濃い五輪、IOCの責任は

 スミス氏はまた、北京五輪を「五輪史上で最も政治色の強い五輪」と表現。「なぜIOCは、中国のような一党体制国家での五輪開催を認めたのか。金銭がらみではないとの言い逃れはできない。IOCには(安全な五輪遂行の)責任があり、開催地決定に際しても熟考が求められているはずだ」と語った。(c) AFP

http://www.afpbb.com/article/politics/2378179/2832569
AFP BB NEWS


 このように、オリンピックで抗議活動を行うことによって職を失い、悪者扱いされる可能性もある……ということに充分留意して行動すべきである、とカルロス氏は言っています。とはいえ、「なぜIOCは、中国のような一党体制国家での五輪開催を認めたのか。金銭がらみではないとの言い逃れはできない。IOCには(安全な五輪遂行の)責任があり、開催地決定に際しても熟考が求められているはずだ」と語る通り、そもそも北京オリンピックそのものが間違いだったのではないか、という疑問視する声が出ています。
 そんな中、日本の福田首相は環境大臣を通じて胡錦涛主席にメッセージを送ったそうです。

五輪成功へ「全力で障害を解決」=福田首相のメッセージに中国主席


 【北京14日時事】中国を訪れていた鴨下一郎環境相は14日、北京市内で記者団に対し、海南島ボアオで12日に胡錦濤国家主席と会談、チベット問題をめぐる状況改善を促す福田康夫首相のメッセージを伝えたことを明らかにした。これに胡主席は「北京五輪に対するさまざまな障害を全力で解決する所存だ」との決意を示したという。
 鴨下氏によると、福田首相が海南島でのボアオ・フォーラムに出席する同氏に口頭でメッセージを伝えるよう指示。急きょ胡主席との会談が設定され、同氏がチベット問題と北京五輪に関するメッセージを読み上げた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080414-00000087-jij-int
Yahoo!ニュース


 具体的なメッセージについては分かりませんが、世界各国でこの問題について言及する中、福田首相もついには中国に対しメッセージを送らざるをえなかった……そういう風に見えます。果たしてこれが本当にチベットの民を思っての行動なのか、あるいは周りのみんながやってるから自分もやってみたという日本人の周りに合わせる同調主義的な行動なのか、前者であって欲しいのですが、具体的なメッセージの内容も分からないので安易に判断は出来ません。
 なんにせよ、福田首相は来月には日本で直接胡錦涛主席と会談することが決まっているので、その時にどうするかで福田首相の真意も問われる所でしょう。

 また、中国当局とダライ・ラマ14世の対話を世界中が待ち望む中、非公式にダライ・ラマ14世と中国政府で幾つかの接触があったことが伝えられました。

ダライ・ラマ代理人が中国側と非公式対話


 米紙シアトル・タイムズ(電子版)は14日までに、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世が13日、米西部シアトルで行った記者会見で、ダライ・ラマの代理人と中国側がチベット暴動後、「非公式対話」していることを明らかにしたと報じた。

 チベット情勢をめぐっては、北京五輪の聖火リレーが各地で混乱するなか、中国政府とダライ・ラマに対話による解決を求める声が国際社会で強まっている。

 同紙によると、ダライ・ラマは会見で、中国側との接触について「非公式なチャンネル」を通じた「取り組みだ」と述べた。自身が直接行っているわけではないとし、接触の成果はなお不透明だとして「憶測はしてほしくない」と語った。

 中国政府はダライ・ラマを「祖国分裂主義者」と非難、「対話のドアは今も開かれているが、問題はダライ・ラマ側が暴力を選んだことだ」との立場を強調している。

 [2008年4月14日22時17分]
http://www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp1-20080414-348323.html
Nikkan Sports.com


 水面下でなんらかの接触があったのは確かなようです。果たしてこれが中国当局とダライ・ラマ14世の対話に繋がればいいのですが……。出来うるならば、心地よいオリンピックを迎えたいものです。


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